日本は世界有数の地震大国。大規模な地震による被害は家計に甚大な影響を与えます。そのため、政府は地震保険の普及を促すために、保険料の一部を所得控除できる制度「地震保険料控除」を設けました。これにより、家計の防災意識と備えをサポートしています。
【ポイント】
地震保険は損害保険の一種ですが、火災保険とは異なり、地震による損害に限定して補償されます。経済的なリスクを分散するために、地震保険の加入と控除の活用は非常に重要です。
制度の概要
地震保険料控除とは、その年に支払った「地震保険料」の一部を所得税および住民税から控除できる制度です。対象となるのは、住宅や家財にかけた地震保険料であり、所得控除の形で節税効果を受けられます。
控除内容の詳細
項目 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
---|---|---|
控除対象 | 支払った地震保険料(火災保険は対象外) | |
控除限度額 | 年間保険料の全額(上限50,000円) | 年間保険料の全額(上限25,000円) |
控除方式 | 所得控除 | |
適用条件 | 対象期間中に保険料を支払っていること | |
証明書の提出 | 保険会社から発行される控除証明書 |
控除額計算方法【所得税】
区分 | 年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|---|
①地震保険料 | 50,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
50,000円超 | 一律50,000円 | |
②旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
10,000円超~20,000円以下 | 年間支払保険料×1/2+5,000円 | |
20,000円超 | 一律15,000円 | |
①②の両方がある場合 | ①+②の控除額の合計額が 50,000円以下 | ①+②の合計額 |
①+②の控除額の合計額が 50,000円超 | 一律50,000円 |
控除額計算方法【住民税】
区分 | 年間支払保険料 | 控除額 |
---|---|---|
①地震保険料 | 50,000円以下 | 年間支払保険料×1/2 |
50,000円超 | 一律25,000円 | |
②旧長期損害保険料 | 5,000円以下 | 年間支払保険料の全額 |
5,000円超~15,000円以下 | 年間支払保険料×1/2+2,500円 | |
15,000円超 | 一律10,000円 | |
①②の両方がある場合 | ①+②の控除額の合計額が 25,000円以下 | ①+②の合計額 |
①+②の控除額の合計額が 25,000円超 | 一律25,000円 |
控除の申請方法
- 地震保険料を支払った保険会社から「地震保険料控除証明書」を受け取る。
- 確定申告または年末調整の際に提出する。
- 所得税・住民税の控除が適用される。
【ポイント】
会社員の方は年末調整で対応できますが、フリーランスや個人事業主の方は確定申告が必要です。証明書の紛失や提出漏れに注意しましょう。
注意点・よくある誤解
- 火災保険料のみでは控除対象になりません。地震保険に加入して支払った金額が対象です。
- 地震保険単体では加入できません。火災保険に加入→地震保険に加入できる
- 長期損害保険(2006年12月31日以前の契約)の控除は現在廃止されていますが、経過措置が適用される契約もあります。
- 控除は基本的には保険料の全額とありますが、「一定の限度額」がある点を理解しておきましょう。
▼火災保険についての記事はコチラ
まとめ:地震保険料控除で、万が一の備えと節税を両立
地震保険は万が一の際に家計を守る重要な保険です。その保険料が控除の対象となる「地震保険料控除」は、防災と節税の両面で活用したい制度です。積極的な活用をおすすめします。