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2025年4月2日、トランプ氏が関税政策を大転換
アメリカのトランプ大統領は、2025年4月2日、ホワイトハウスでの演説にて**「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の導入を正式表明しました。
この措置は、各国がアメリカに課している関税・非関税障壁を逆算し、それと同等の制裁関税を課すというもの。さらに、個別に指定されない国・地域には一律10%の関税**が課されるとしました。
日本に課される「24%」の関税|米国が主張する根拠とは?
日本に対しては、**「非関税障壁を含めるとアメリカに46%の関税を課しているに等しい」という主張のもと、
アメリカは割引後の相互関税24%**を課すと発表。これには多くの日本企業が懸念を示しています。
❗ 特に影響が大きい分野
- 自動車(+25%の個別追加関税も対象)
- 建設用機械、光学機器、重電機器、半導体製造装置
- 食品・農水産物(ホタテ、牛肉、日本酒など)
各国への関税率(主な対象国)一覧(2025年発動予定)
国・地域 | 関税率 |
---|---|
日本 | 24% |
中国 | 34% |
EU | 20% |
台湾 | 32% |
韓国 | 25% |
ベトナム | 46% |
カンボジア | 49% |
マレーシア | 24% |
イギリス・トルコなど | 10%(一律適用国) |
トランプ大統領の狙いと戦略的意図
トランプ氏の演説では以下の発言が目立ちました。
「これはアメリカ経済の独立宣言だ。これまで他国に富を奪われてきたが、今日からは我々の番だ。」
「日本の自動車の94%が日本製。米国車は日本市場で全く売れない。これがフェアだと言えるか?」
【トランプトランプ氏の主張まとめ】
- アメリカの貿易赤字を国家的危機と捉え、是正へ踏み切った。
- 自国産業(鉄鋼、自動車、国防関連)を守り、復興させる。
- 報復関税に対しては**「さらに引き上げる」**と警告。
- アメリカと協調すれば、関税を「割引・撤廃」も検討。
報復措置とリスク|世界経済の分断化へ?
各国が報復関税を行えば、米国もさらなる引き上げを示唆しており、新たな「貿易戦争」の様相を見せ始めています。
特にWTOの枠を超える一方的措置であり、自由貿易の崩壊に拍車をかける可能性も懸念されています。
【解説】日本への具体的影響
- GDPの0.2%が押し下げられる可能性(自動車関税による試算)
- 日本の輸出全体の中でアメリカが最も大きく、打撃は不可避
- 輸出品目:自動車(6兆円)、光学機器、半導体製造装置、食品・農産品などが広く影響を受ける見通し
今後の日本の対応は?
日本政府は、これらの措置が日本経済に与える影響を深刻に受け止めています。24%の相互関税導入について「想定外」とし
交渉の場では「非関税障壁が46%に相当する」とするアメリカ側の算出根拠を精査中です。
経産省は米政府との交渉継続を明言しており、日本としても取引材料を用意し対等な交渉が求められています。
世界経済への影響と各国の反応
この関税措置により、世界経済への影響が懸念されています。欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長は、「交渉が失敗に終わった場合に備え、われわれの利益や企業を守るためのさらなる対抗措置を用意している」と述べ、対抗措置の準備を進めています。
また、中国商務省も、アメリカの関税措置に断固反対し、対抗措置を講じる意向を示しています。このように、各国が報復措置を検討しており、世界的な貿易摩擦の激化が懸念されています。
まとめ|アメリカとの「交渉の時代」が始まる
トランプ大統領の相互関税政策は、単なる経済政策にとどまらず、外交戦略の一環と見るべきです。
- アメリカ第一主義の深化
- 関税=交渉カードとしての再利用
- 協調と対立の線引きによる外交の構造化
この中で日本が果たすべきは、「追従」ではなく、「交渉する主権国家」としての対応です。
今後もこの動きに注視し、企業・政府ともに戦略的対応を進める必要があります。