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単利と複利の違いを理解しよう!
効果的なお金の増やし方とは?
金融商品の「金利」について話すとき、よく耳にするのが「単利」と「複利」です。どちらも資産運用に欠かせない概念ですが、その違いを理解することで、資産をより効果的に増やすことが可能になります。本記事では、単利と複利の違いを整理しつつ、複利運用の魅力について詳しく解説します。
1. 複利とは?
複利とは、元本だけでなく利息にも利息がつく仕組みです。この仕組みにより、時間が経つほど資産は加速度的に増えていきます。複利は「お金が雪だるま式に増える」と例えられることが多いです。
複利の具体例
元本10万円、年利5%で5年間運用した場合
- 1年目: 10万円 + 5,000円(利息) = 10万5,000円
- 2年目: 10万5,000円 + 5,250円(利息) = 11万250円
- 5年目: 約12万7,627円
運用期間が長くなるほど、元本に対する利息の割合が大きくなり、資産が増えていきます。
複利計算式
A=P×(1+r)t
- A: 将来の総資産額(利息込みの金額)
- P: 元本(初期金額)
- r: 年利(利率)
- t: 運用期間(年数)
先程の条件を当てはめた場合
- 元本 (P): 100,000円
- 年利 (r): 0.05(5%)
- 運用期間 (t): 5年
各年の計算
1年目
A1=100,000×(1+0.05)1=100,000×1.05=105,000円
2年目
A2=100,000×(1+0.05)2=100,000×1.1025=110,250円
3年目
A3=100,000×(1+0.05)3=100,000×1.157625=115,762.50円
4年目
A4=100,000×(1+0.05)4=100,000×1.21550625=121,550.63円
5年目
A5=100,000×(1+0.05)5=100,000×1.2762815625=127,628.16円
このように、年々利息が元本に加算されることで、資産が加速度的に増えていくのが複利の特徴です。
2. 単利とは?
単利とは、元本(初期投資額)に対してのみ利息が発生する計算方法です。運用期間中に利息が元本に組み入れられないため、利息は常に一定額となり、時間が経っても資産の増加スピードは変わりません。
単利の計算式
A=P+(P×r×t)
- A: 最終的な資産額(元本 + 利息)
- P: 元本(初期金額)
- r: 年利(利率)
- t: 運用期間(年数)
具体例:元本10万円、年利5%、運用期間5年の場合
- 元本 (P): 100,000円
- 年利 (r): 0.05(5%)
- 運用期間 (t): 5年
各年の計算
1年目
A1=100,000+(100,000×0.05×1)=100,000+5,000=105,000円
2年目
A2=100,000+(100,000×0.05×2)=100,000+10,000=110,000円
3年目
A3=100,000+(100,000×0.05×3)=100,000+15,000=115,000円
4年目
A4=100,000+(100,000×0.05×4)=100,000+20,000=120,000円
5年目
A5=100,000+(100,000×0.05×5)=100,000+25,000=125,000円
3. 知っておくべき「72の法則」
複利の効果を簡単に計算できる便利なルールが「72の法則」です。
この法則を使うと、資産が倍になる年数を計算できます。
72の法則の定義
72 ÷ 年利 = 資産が倍になる年数
例:年利5%の場合 72 ÷ 5 = 約14.4年
→ 年利5%で運用すると、約14.4年で元本が倍になります。
72の法則はなぜ成立するのか?
72の法則は、お金が2倍になる期間を計算する際に使用される法則で、計算式は「72÷金利(%)≒お金が2倍になる期間」です。この法則は、資産運用やお金を借りた場合など、複利計算で元本が2倍になるまでの期間を簡便に求めるために使用されます。たとえば、金利18%で運用する場合は「72÷18=4」となり、約4年で元本が2倍になります。また、金利15%でお金を借りた場合は「72÷15=4.8」となり、約5年で元本の2倍の返済が必要になります。72の法則が成り立つのは、2の自然対数が0.693147…で100倍すると72に近いからです。ただし、72の法則で算出される結果(期間や金利)は、おおよその値です。また、長期投資では、上がるたり下がったり、時には元本を割り込んだりする可能性があるため、忍耐力も大切になります。
72は誰が定義したのか?
「72の法則」は歴史的には金融業界での経験則として使用されてきました。特定の人物が定義したものではなく、簡便な計算ツールとして広まりました。
4. 単利と複利の違いを整理
「年利5%」という言葉だけでは、単利か複利かを見分けることはできません。この違いを理解することは非常に重要です。
特徴 | 単利 | 複利 |
---|---|---|
利息計算対象 | 元本のみ | 元本 + 利息 |
資産増加スピード | 緩やか | 加速度的 |
例 | 定期預金、債券(利息を再投資しない場合) | 投資信託、長期積立 |
具体例:元本10万円を5年間運用(年利5%)
- 単利
10万円 + (10万円 × 5% × 5年) = 12万5,000円 - 複利
約12万7,627円
→ 長期運用では複利の効果が顕著になります。
5. 学資保険と投資の考え方
「返戻率」を重視する学資保険は、単利と複利の違いを考える上で分かりやすい例です。
学資保険の例
200万円を20年間積み立てる場合、返戻率108%のプランでは満期時に216万円を受け取れます。
これは、元本200万円に対し16万円の利息がつくということ。つまり、単純な長期の単利的計算です。
※あくまで代表的な例となります。学資保険は保険商品ごとに内容が異なりますので、全てがこれに当てはまる訳ではありません。
複利で積み立てた場合の比較
単純に、20年間で200万貯める場合、月に約8,333円の積み立てが必要
同じ金額(8,333円/月)を20年間運用した場合
- 学資保険:216万円
- 複利(年利5%):約342万円
→ 学資保険は「安心感」を得られる反面、資産増加の効率は複利運用に劣ることが分かります。
6. 結論:単利と複利の違いを理解して最適な選択を
学資保険や定期預金のような堅実な方法も選択肢の一つですが、資産を効率よく増やすためには複利運用を活用することが重要です。特に長期的な目標がある場合、複利を活用することで大きなリターンを得られる可能性があります。
- 短期・安全重視: 単利運用や学資保険
- 長期・リターン重視: 複利運用(例:つみたてNISA、投資信託)
どの選択肢が最適かは、目的やリスク許容度によりますが、「単利と複利の違い」を理解することが最初の一歩です。