【扶養控除】

💡初心者にもわかる基礎と実務での活用法をやさしく解説!
結婚や子育て、親の介護など、私たちは日常的に「家族を支え合う」生活を送っています。そんな家族を支える行動が、税制上もきちんと評価される制度が「扶養控除」です。
この記事では、以下のポイントを中心に、扶養控除の仕組みを分かりやすく丁寧に解説していきます。

扶養控除とは、納税者が生計を一にする「一定の家族(親族)」を扶養している場合に、納税者自身の所得から一定金額を差し引くことができる制度です。これにより、所得税や住民税の負担が軽くなります。

【扶養】とは

✅ そもそも「扶養」って何?税金との関係は?
「扶養(ふよう)」とは、簡単に言えば生活を支えていることを意味します。たとえば、収入がない子どもや親と一緒に暮らし、食費や住まいなどの費用を負担している場合、「扶養している」といえます。しかし、**税金の世界での「扶養」**は、日常的な意味と少し違います。

🧾 税制上の「扶養」とは?

税金(特に所得税)では、扶養している家族が一定の条件を満たすと、**納税者の税金を軽くする「扶養控除」**という制度があります。この「扶養控除」は、以下のようなケースでよく使われます。

  • 子どもが高校生や大学生で収入がない(16歳以上)
  • 定年退職した親と同居して生活費を支援している
  • 離れて暮らしていても、仕送りなどで生活を支えている など

つまり、生活を支えている人がいる場合に、その分税負担を軽くしてあげますよというのが税制上の「扶養」の考え方です。

✅ 一般的な「扶養に入れる」という表現と、税制上の「扶養」は少し違います

🧾 よくある「扶養に入る」「扶養に入れている」とは?

日常会話で使う「扶養に入る」という言葉には、主に次の3つの意味があります:

税金上の扶養控除を受ける
 → 所得税の計算で「扶養控除」の対象になる

健康保険の扶養に入る
 → 会社員の被扶養者になって健康保険証をもらう(年収130万円未満などの条件あり)

年金の第3号被保険者になる
 → 専業主婦(夫)が、年金保険料を払わずに国民年金に加入できる制度(収入が一定以下)

区分控除額
一般の扶養親族38万円
特定扶養親族(19~22歳)63万円
老人扶養親族(同居なし)48万円
老人扶養親族(同居)58万円

💡 特定扶養親族は大学生などが該当することが多く、控除額も大きめです。
💡 同居老親等の場合、同じ家に住んでいればOKですが、老人ホーム入所は基本的に「別居」とみなされます。

以下すべてを満たす人が「扶養親族」として控除対象になります:

  1. 配偶者以外の親族であること(6親等内の血族・3親等内の姻族、里子などを含む)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
    ※ただし、令和7年より基礎控除・給与所得控除が段階的に引き上げられ、将来的には控除額が一律58万円になる予定です。このため、いわゆる「103万円の壁」も段階的に見直されていく見込みです
  4. 納税者の専従者でないこと(青色申告・白色申告者の事業専従者は対象外)

これまで、大学生年代(19〜23歳)の子どもを扶養に入れていた場合、**年間所得が48万円以下(給与収入103万円以下)でなければ、特定扶養親族として63万円の控除が受けられませんでした。
つまり、アルバイトで少しでも103万円を超えてしまうと、扶養している親側の控除はゼロになり、
「103万円の壁」**が問題視されていました。

その結果、学生側も「働きすぎないように」就業調整をするケースが多く、本人の経験や収入、経済的自立の機会を失う要因ともなっていました。
そこで導入されることになった新制度を説明します。

令和7年(2025年)から導入される新制度では、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の合計所得金額が58万円を超えても最大123万円以下であれば、段階的に所得控除が受けられる仕組みが導入されます。

給与収入ベースでは、103万円超〜188万円以下の範囲で、以下のように控除額が減少していきます。

控除額の段階表(令和7年~)

合計所得金額(給与収入) 所得税控除額 住民税控除額
58 万円超 85 万円以下 (123 万円超 150 万円以下) 63万円 45万円
85 万円超 90 万円以下 (150 万円超 155 万円以下)  61万円
90 万円超 95 万円以下 (155 万円超 160 万円以下) 51万円
95 万円超 100 万円以下 (160 万円超 165 万円以下) 41万円 41万円
100 万円超 105 万円以下 (165 万円超 170 万円以下) 31万円 31万円
105 万円超 110 万円以下 (170 万円超 175 万円以下) 21万円 21万円
110 万円超 115 万円以下 (175 万円超 180 万円以下) 11万円 11万円
115 万円超 120 万円以下 (180 万円超 185 万円以下) 6万円 6万円
120 万円超 123 万円以下 (185 万円超 188 万円以下) 3万円 3万円

※給与収入は「給与所得控除(最低65万円)」を加味して概算で記載
※所得税控除額=所得税計算時に適用
※住民税控除額=住民税計算時に適用  注意:所得税と住民税では控除額が変わります。

この改正でどう変わる?働き方の選択肢が広がる

この改正により、学生がアルバイトで収入を得ても、急に親の税負担が増えることがなくなります。段階的に控除額が減少することで、「働きすぎると扶養から外れてしまう」という不安が緩和され、より柔軟な働き方を選択できるようになります。

注意点と適用時期

  • この制度は 令和7年分の所得税(2025年の年末調整) から適用されます。
  • 給与や年金等の源泉徴収での適用は、令和8年1月以降の支払い分からとなります。
  • 控除を受けるには、従来通り「扶養控除等申告書」の提出に加えて、「特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。

「控除対象扶養親族」は原則16歳以上が対象です。
16歳未満のお子さんは、税制上は扶養控除の対象外です。

国外に住む家族でも控除が認められるケースはありますが、以下のような要件を満たす必要があります:

控除対象となる非居住者の範囲

  • 16歳以上30歳未満
  • 70歳以上
  • 30歳以上70歳未満で以下のいずれかに該当する場合:
    • 留学による国外滞在
    • 障害者である
    • 年間38万円以上の生活費・教育費を送金している

📌上記に当てはまらないと、国外居住の扶養親族は控除対象とならないため、注意が必要です。

扶養控除は、親や子どもなどの家族を支えている納税者にとって、非常に大きな節税効果をもたらす制度です。

  • 一般扶養控除は38万円
  • 大学生などの特定扶養親族は63万円
  • 同居している親(70歳以上)は最大58万円

と、年齢や同居状況などによって控除額が変わります。

また、非居住者の親族であっても一定の要件を満たせば控除の対象になるため、該当するかどうかは丁寧に確認することが重要です。

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👉 最終的な判断には確定申告書や源泉徴収票の確認をおすすめします。

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