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税金は私たちの生活に密接に関わるものですが、その仕組みや種類について詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。特に、所得税と住民税は毎年支払う主要な税金ですが、その違いや計算方法、納付時期などを正確に把握しているでしょうか?本記事では、これらの基本的な税金について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
ご注意(2025年版・実務向けの前提)
- 本記事は給与所得者の一般例を中心に解説しています。
- 住民税は自治体ごとに「均等割の金額」「非課税基準」「細かな軽減・加算」が異なります。最終判断は必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
- 所得税の基礎控除は原則58万円。低所得特例で最大95万円になる場合があります(要件・時限措置)。
- 本稿の数字はわかりやすさを優先した一般的な目安であり、実額は標準報酬月額、世帯の控除、所得種類等により変動します。
税金とは?基本的な概念と役割
- 税金の定義
- 税金は、国や地方公共団体が公共サービスを提供するために、国民から徴収するお金です。
- 税金の種類
- 国税:国が徴収する税金で、所得税や消費税などが含まれます。
- 地方税:地方公共団体が徴収する税金で、住民税や固定資産税などがあります。
用語ミニ辞典
- 所得割:所得に応じてかかる住民税の部分(税率ベース)。
- 均等割:所得に関係なく一律にかかる住民税の部分(定額)。
- 標準報酬月額:社会保険料計算の基礎となる月額の区分。税額そのものはこれを直接使わず、住民税・所得税は所得金額ベースで計算します。
- 年末調整:給与所得者の所得税の精算手続。住民税は翌年度に別計算されます。
所得税とは?
- 所得税の概要
- 個人の1年間の所得に対して課される国税です。
- 課税対象となる所得
- 給与所得、事業所得、不動産所得など、多岐にわたります。
- 納付方法と時期
- 給与所得者の場合、毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算されます。
- 自営業者などは、翌年の確定申告期間(通常2月16日から3月15日)に申告・納付します。
- 税率と計算方法(2025年版・給与所得者の一般例)
所得税は、次の順序で計算します(年末調整・確定申告でも基本ロジックは同じです)。
- 所得 = 給与収入 − 給与所得控除
(2025年:最低65万円。収入帯ごとに式があり、上限195万円) - 課税所得 = 所得 − 所得控除
(2025年:基礎控除は通常58万円。※低所得特例で最大95万円:要件・時限あり) - 税額 = 課税所得 × 税率(累進) − 控除額(速算表の控除)
(さらに復興特別所得税=所得税額×2.1%を加算)
重要:2025年以降、(原則)基礎控除58万円・給与所得控除の最低65万円。
「123万円の壁」=58万+65万 は、あなた本人の所得税の非課税目安(給与のみ、他控除なしの一般例)。
一方、低所得特例(最大+37万円)に当てはまる場合、基礎控除95万円となり、非課税目安が広がります(※時限措置・要件あり)。
住民税とは?
- 住民税の概要
- 都道府県民税と市区町村民税を合わせた地方税で、前年の所得に基づいて課されます。
- 納付方法と時期
- 給与所得者は、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から特別徴収されます。
- 自営業者などは、6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて普通徴収で納付します。
- 課税対象と計算方法(自治体差に要注意)
住民税は、前年の所得に基づき、次の式で求めます。
- 住民税 = 所得割 + 均等割 − 税額控除 等
- 所得割:多くの自治体で**一律10%(市民税6%・県民税4%)**を基本にしますが、条例で細部が異なる場合があります。
- 均等割:定額(市民税+県民税の合算)。金額・加算有無は自治体ごとに違うため、同じ年収でも負担が変わります。
- 住民税の所得控除額は、所得税とは金額が異なる(例:基礎控除は43万円が一般的。所得税は58万円)。同名の控除でも金額・要件が違う点に注意。
非課税の目安について
単身・給与のみの一般例では、年収110万円以下で所得割が非課税となるケースが多い一方、均等割は別判定で自治体差があります。
したがって、住民税の「非課税/課税」基準は自治体公式の案内で必ず確認してください。
所得税と住民税の主な違い
項目 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
納税先 | 国(国税) | 都道府県+市区町村(地方税) |
課税期間 | 当年の所得に課税 | 前年の所得に基づき翌年度課税 |
税率方式 | 累進課税(5%〜45%)+復興特別所得税2.1% | 所得割(多くは10%=市6%・県4%) 均等割(定額) |
基礎控除 | 58万円(通常)※特例で最大95万円(時限・要件) | 43万円(一般的) |
他の控除 | 種類は概ね同じだが金額が異なる控除が多い | 同名でも金額・要件が異なることに注意 |
納付方法 | 給与から源泉徴収→年末調整/確定申告 | 特別徴収(給与天引き:6〜翌5月) or 普通徴収(年4回) |
非課税の目安 | 123万円(給与+他控除なしの一般例)※特例で拡大あり | 所得割は110万円目安(単身・給与のみの一般例) 均等割は自治体差 |
住民税は「自治体差」、所得税は「計算手順が全国共通」。同じ名称の控除でも金額が違うため、二つの税で別々に考えることが大切です。
税金を理解するためのポイント
- 確定申告と年末調整の違い
- 給与所得者は年末調整で税額を精算し、自営業者などは確定申告で申告・納付します。
- 税額控除と所得控除の活用
- 医療費控除や住宅ローン控除など、適用可能な控除を理解し、税負担を軽減しましょう。
- 納税の重要性とペナルティ
- 適切な納税は社会の維持に不可欠で、未納や遅延には延滞税などのペナルティが課されます。
- 所得税の非課税目安:収入123万円(=基礎控除58万+給与所得控除65万)
- 住民税の非課税(所得割)目安:収入110万円(自治体差あり。均等割は別判定)
- 注意:同じ「配偶者控除」「社会保険料控除」でも、所得税と住民税で控除額が異なることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q1:所得税と住民税はどちらが高いの?
A:収入や控除の内容によって異なりますが、一般的には所得税の方が高くなる傾向にあります。ただし、所得が低く控除が多い場合は、住民税が相対的に高くなることもあります。
Q2:住民税はなぜ前年の収入にかかるの?
A:所得税:123万円超で課税が始まるイメージ(=基礎控除58万+給与所得控除65万)ただし、低所得特例が適用されると非課税の上限が拡大(最大160万円目安)する場合があります(要件・時限)
住民税:所得割は110万円以下で非課税となる自治体が多い一方、均等割は別判定で、自治体ごとに基準・金額が異なります。
Q3:年収がいくらから税金がかかるの?
A: 2025年の税制改正により、所得税は年収160万円を超えると課税対象となります。住民税は(単身者の場合)年収110万円を超えると課税対象となります。
Q4:副業で得た収入にも税金がかかる?
A:はい。副業収入も「雑所得」や「事業所得」として、合算して課税対象になります。一定額を超えると確定申告が必要です。
Q5:住民税の所得割は全国一律10%(市6%・県4%)ですか?
A:多くの自治体で10%を基本としていますが、**条例により例外(超過課税・軽減・上乗せ)**がある場合があります。必ずお住まいの自治体の税率を確認してください。
Q6:均等割はいくらですか?
A:定額で概ね5,000円前後となります(市民税:3,000円、県民税:1,000円、森林環境税:1,000円等)、市民税分+県民税分+森林環境税の合計を負担します。金額・加算の有無は自治体で違うため、自治体の「住民税(均等割)」ページをご確認ください。
まとめ|税金の仕組みを知って生活をコントロールしよう
税金は、私たちの生活を支えるインフラの資金源でありながら、複雑でわかりにくい側面も多くあります。特に「所得税」と「住民税」は、年収や働き方に直接影響する重要な税金です。
基本を理解しておくことで
- 手取り額の予測がしやすくなる
- 節税対策に活かせる
- トラブル回避に役立つ
まずは「自分の収入に対して、どんな税金が、いくら引かれているのか」をしっかり確認し、納税意識と家計管理力を高めていきましょう。