税金の仕組みには「所得控除」と「税額控除」という2つの方法があります。どちらも税金を軽くする仕組みですが、実は働き方がちょっと違います。
特に「税額控除」は、計算で出た税金から直接引けるため、節税効果が大きいのが特徴です。この記事では「税額控除ってそもそも何?」という基本から、代表的な種類、どんなメリットがあるのか、そして利用するための流れまでを分かりやすく解説します。
税額控除の基本と仕組み
この控除の仕組みは、計算で出た「税金の金額」から直接引ける制度です。つまり「税金そのものを減らす」仕組みです。
所得控除との違い
- 所得控除:収入から一定の金額を引いて「課税される収入(課税所得)」を小さくする。
- 税額控除:計算された税金から直接引く。
👉 税額控除は、引いた分がそのまま税金を減らすので効果が大きいのが特徴です。
主な税額控除の種類
税額控除にはいろいろな種類があります。ここでは代表的なものを紹介します(詳しい内容は別記事で解説します)。
住宅ローン控除
- 家をローンで買った人が対象。年末のローン残高に応じて税金が減ります。
- 条件:入居時期やローンの長さ(10年以上)、床面積などに決まりがあります。
配当控除
- 株などの配当金を受け取ったときに税金を軽くできる制度。
- ただし、配当を「分離課税」で申告した場合は使えません。
外国税額控除
- 海外で稼いだお金に、日本と外国の両方で税金がかかるとき(二重課税)に、日本の税金から引ける仕組みです。
寄附金特別控除
- 政党や認定NPO法人などに寄附した場合に使えます。
- ふるさと納税もここに含まれます。
増改築の住宅ローン控除
- 自宅をリフォームしたときに使える住宅ローン控除です。
認定住宅の投資型減税
- エコ住宅や長期優良住宅をローンなしで買った場合に使える制度。
- 最大65万円まで税金が減らせます。
税額控除の効果
なぜ効果が大きいのか
税額控除は「税金そのもの」から引くので、少ない収入の人でも効果を実感しやすいです。
具体例
- 課税所得が156万円で税率5%の場合 → 税金は7万8,000円。
- 所得控除6万円:税金は7万5,000円(3,000円減)。
- 税額控除6万円:税金は1万8,000円(6万円減)。
👉 同じ6万円の控除でも、税額控除の方がずっと効果が大きいです。
条件や上限の例
住宅ローン控除
- 期間:10〜13年
- 控除率:ローン残高の0.7%
- 上限:住宅の性能や入居時期で変わり、最大455万円(子育て世帯などはさらに優遇)
投資型減税
- 控除率:10%
- 上限:65万円(翌年に繰り越しも可能)
手続きと申請方法
確定申告が必要なもの
- 住宅ローン控除(初年度)
- 寄附金特別控除(ふるさと納税など)
年末調整でできるもの
- 住宅ローン控除(2年目以降、サラリーマンなど)
必要書類の例
- 住宅ローン控除:ローン残高証明書、不動産の契約書など
- 寄附金控除:寄附金受領証明書
最近の動き
住宅ローン控除
- 2024年から、省エネ住宅に有利な改正がありました。子育て世帯や若い夫婦には特に優遇されています。
給付付き税額控除
- 日本でも議論されていますが、2025年の時点ではまだ制度化されていません。
ポイント
1.所得控除と税額控除の流れ
収入 ー 給与所得控除 = 所得
所得 ー 所得控除 = 課税所得
課税所得 × 税率 ー 税額控除 = 税額
上記計算で出た最終的な「税額」から差し引かれるのが【税額控除】となります。
2.同じ6万円を控除した場合の違い(所得控除 vs 税額控除)
区分 | 税額(もともと7万8,000円) | 軽減額 |
---|---|---|
所得控除6万円 | 7万5,000円 | 3,000円 |
税額控除6万円 | 1万8,000円 | 6万円 |
3.住宅ローン控除のシミュレーション例
- 年末ローン残高:4,000万円
- 控除率:0.7%
- 控除可能額:28万円
ただし、実際に払う税金が17万円なら、28万円全部は戻らず 税金分の17万円まで が控除されます。
まとめ
- 税額控除は「税金を直接減らす」制度なので節税効果が大きい。
- 住宅ローン控除や配当控除、ふるさと納税などいろいろな種類がある。
- 詳しくは各制度ごとに記事で解説予定。
👉 このページを入口に、個別の記事でそれぞれの控除をさらに学んでいきましょう。