投資型保険とは?メリット・デメリットと後悔しない選び方【2025年版】

 「保険に入るなら、資産も増やせたらいいのに」——そんなニーズに応えるのが、投資型保険です。
保障機能と資産運用機能が一体となったこのタイプの保険は、「守り」と「攻め」を同時に叶えられるように見えます。しかし、仕組みが複雑なうえ、すべての人に適しているとは限りません。場合によっては、損失リスクや不要なコストを背負ってしまうことも。
この記事では、投資型保険の基本からメリット・デメリット、そして向いている人の特徴までを、丁寧に解説します。

投資型保険の定義と分類

 投資型保険とは、保険料の一部が保障に、残りが投資信託などの運用に充てられる、「保障」と「資産形成」を兼ね備えた保険商品です。一般的な掛け捨て型保険とは異なり、満期や解約時に「運用益」が上乗せされる可能性があります。

代表的な投資型保険には、以下のようなタイプがあります:

  • 変額保険
     保険金の一部が投資信託などで運用され、運用成績によって解約返戻金・満期金が増減します。死亡保障は最低額が保証される商品もあります。
  • 積立型終身保険(利率変動型)
     一部が定期預金のように運用され、利率によって返戻金が変わるタイプ。リスクは小さいものの、リターンも限定的です。

仕組みの基本

 多くの投資型保険では、毎月支払う保険料の中から、一定額が保障に、残りが運用に回されます。
運用部分は保険会社が用意した投資信託などで構成され、運用結果に応じて将来の受取額が変動します。

ただし、運用にかかる手数料や、保障部分の管理費なども差し引かれるため、単純な投資信託と比べてコストが高めになりやすいという側面もあります。

成長ポテンシャルがある

 投資型保険の最大のメリットは、運用成果によっては保険金以上の資産を築ける可能性がある点です。
特に変額保険の場合、投資先のパフォーマンスが良ければ、満期時に大きなリターンを得られることもあります。

また、長期運用を前提に設計されているため、時間を味方につけた「複利効果」にも期待できます。

節税効果がある

 投資型保険は、「一般生命保険料控除」の対象となるため、年間の保険料の一部が所得控除として扱われ、所得税や住民税が軽減される可能性があります。

さらに、満期や解約によって得られた利益は「一時所得」として扱われるため、税負担が軽くなるケースもあります(※50万円までは非課税+1/2課税)。

資産の受け取りがスムーズ

 死亡保険金は、**相続財産ではなく「受取人固有の財産」**とされるため、相続手続きが不要なケースもあります。
そのため、相続対策として活用されることも多いのが投資型保険の特徴です。

このように、投資型保険には「資産形成+保障+節税+相続」の4つの魅力が詰まっています。

次のセクションでは、こうしたメリットの裏にあるデメリットや注意点、そして適している人/そうでない人の見極め方について解説します。

元本割れリスクがある

 投資型保険はあくまで「投資」である以上、元本割れのリスクは避けられません。
特に変額保険の場合、運用成績が悪ければ、支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこない可能性があります。

途中で解約すれば、さらに手数料などが引かれて大きく損失を出すこともあります。
「保険だから安心」という思い込みは禁物です。

コスト構造が複雑で不透明

 投資型保険には、以下のような複数の手数料が含まれています:

  • 保険管理費(保障部分)
  • 運用管理費(信託報酬など)
  • 契約時手数料
  • 解約控除

これらのコストは保険料に内包されているため、外からは見えづらく、実質利回りが低下しがちです。

投資信託を自分で選んで積み立てる(例:つみたてNISA)方が、透明性が高くコストも安くなるケースも多く見られます。

柔軟性に欠ける

 投資型保険は「長期契約が前提」で設計されているため、途中解約や内容変更がしづらいのが難点です。
途中で「もっとリターンの高い投資をしたい」「一部だけ引き出したい」と思っても、自由に対応できない場合が多いのです。

また、投資先(ファンド)の選択肢も限られており、自由度は投資信託より大きく劣るといえます。

向いている人

以下のような特徴に当てはまる人は、投資型保険を前向きに検討しても良いでしょう:

  • 10年以上の長期運用を前提としている
  • 自分や家族に必要な保障をしっかり把握している
  • リスクを受け入れつつ、資産運用の知識も少しずつ身につけたい
  • 保険と投資を「一括で管理したい」と考えている
  • 相続対策も視野に入れている

向いていない人

一方で、以下のような人には投資型保険はあまり適していません:

  • 元本割れを絶対に避けたい人
  • 近いうちにお金が必要になる予定がある
  • 保険は「最低限」でよく、投資は別管理したい
  • 手数料や制度の仕組みを自分で把握したい(→投資信託やiDeCoの方が透明)

投資型保険は、保障と運用を「手間なく一括でまとめたい人」に向いた商品ですが、自分で運用管理できる人にはやや不向きな一面もあります。

 投資型保険は、保障を確保しながら資産形成も目指せる「一石二鳥」の商品に見えますが、リターンの期待値とコスト、リスクを天秤にかけて判断すべき商品です。

 大切なのは、以下の3点を自分で理解・判断できているかどうかです:

  1. 保障と資産形成のどちらを重視したいのか?
  2. 公的制度(年金・健康保険)でどこまで備えられているか?
  3. 投資型保険以外の手段(つみたてNISA・iDeCoなど)との違いを理解しているか?

 保険も投資も、「なんとなく加入」は後悔の元です。
自分のライフプランやリスク許容度に照らし合わせて、必要な選択肢を冷静に見極めることが、賢いお金の守り方・増やし方につながります。

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