NISAとiDeCoの違いを徹底比較【2025年版】|どっちから始めるべき?

はじめに

 資産形成を始めるときによく比較される制度が「NISA」と「iDeCo」です。
どちらも税制優遇が受けられる魅力的な制度ですが、仕組みやメリット・デメリットは大きく異なります。
この記事では、2025年時点での最新情報をもとに、NISAとiDeCoの違いを初心者にもわかりやすく解説し、どちらを優先して始めるべきかを考えます。

NISAの目的と特徴

 NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得られる利益や配当が非課税になる制度です。
2024年から始まった新NISAでは、「つみたて投資枠」(年間上限120万円)と**「成長投資枠」**(年間上限240万円)の併用が可能となり、年間最大360万円まで非課税で投資できます。
非課税期間は無期限で、いつでも資金を引き出せる流動性の高さが魅力です。

iDeCoの目的と特徴(2025年改正反映)

 iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を自分で積み立て、運用する制度です。
掛金は全額が所得控除となり、所得税・住民税を軽減できます。運用益も非課税ですが、原則60歳まで引き出せないため、流動性は低い一方で、老後資金を強制的に準備できるメリットがあります。

2025年の主な制度改正

  • 掛金拠出上限額の引き上げ
     第1号被保険者(自営業者等):月額68,000円 → 75,000円
     第2号被保険者(会社員等):企業年金制度の有無に関わらず、月額62,000円まで拠出可能(企業年金等と合算)
  • 加入可能年齢の延長
     加入上限年齢が65歳未満 → 70歳未満へ延長(施行は公布から3年以内予定)
  • 受取時の税制優遇の見直し
     退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に変更され、退職金との併用時は受取タイミングに注意が必要
項目NISAiDeCo
対象者18歳以上(日本居住者)20歳〜70歳未満(国民年金加入者)※2025年時点
非課税対象投資益・配当益運用益+掛金の所得控除
上限額年間360万円(つみたて枠+成長枠)年間14.4〜90万円(職業により異なる、2025年改正後)
投資可能商品株式・投資信託・ETF・REIT投資信託・定期預金・保険商品
資金の引き出しいつでも可原則60歳まで不可
節税の種類譲渡益・配当の非課税掛金全額所得控除+運用益非課税
途中引き出し可能不可

メリット

  • 利益・配当が非課税
  • いつでも引き出し可能
  • 年間最大360万円まで投資できる
  • 商品選択の自由度が高い

デメリット

  • 掛金の所得控除はない
  • 投資判断は自己責任
  • 短期売買を繰り返すと非課税メリットが活かせない

メリット

  • 掛金全額が所得控除
  • 運用益が非課税
  • 老後資金を確実に準備できる
  • 掛金上限額の引き上げで、より多く拠出可能に
  • 加入年齢延長により、長期運用期間を確保できる

デメリット

  • 60歳まで引き出せない(年齢延長後は65歳以降の引き出し開始)
  • 運用商品が限られる
  • 受取時の税制ルール変更で、タイミングによっては節税効果が減る可能性あり

流動性を重視する場合

→ NISAがおすすめ
いつでも引き出せるため、住宅購入や教育資金など、将来のライフイベントに柔軟に対応できます。

節税額を最大化したい場合

→ iDeCoがおすすめ
掛金全額が所得控除となり、特に所得税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。掛金上限引き上げにより、高額拠出が可能になった点も魅力です。

老後資金を確実に準備したい場合

→ iDeCoがおすすめ
引き出し制限はデメリットでもあり、強制的に貯蓄できるメリットでもあります。加入年齢延長で、60歳以降も積立期間を確保できます。

理想は、NISAとiDeCoの両方を活用して税制優遇を最大化することです。

順番の考え方

  1. まずは流動性の高いNISAで投資を始め、投資の経験と資産を積む
  2. 余裕が出てきたらiDeCoにも加入し、節税と老後資金形成を両立

バランス配分例

  • 年間掛金の7割をNISA、3割をiDeCo
  • ライフイベントの予定に合わせて割合を調整

 NISAとiDeCoは、どちらも資産形成を後押しする強力な制度ですが、目的や特徴は大きく異なります。
流動性や短期的な資産運用を重視するならNISA、節税効果と老後資金形成を重視するならiDeCoが向いています。
2025年のiDeCo改正により、掛金上限や加入年齢の拡大で使いやすくなりましたが、受取時の税制ルール変更にも注意が必要です。
まずは自分のライフプランを明確にし、どちらから始めるべきかを決めましょう。可能であれば、両方を併用して税制優遇を最大限に活用するのがおすすめです。

▼次の記事では、「NISAで失敗しないための3つの注意点」を詳しく解説します。

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