「国会」とは何をしている場所?法律が決まるまでの流れを解説

 政治のニュースでよく耳にする「国会」――でも、「結局なにをしている場所なの?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、国会の役割や仕組み、具体的に何をしているのかを、初心者にもわかりやすく解説していきます。

まずは、「そもそも国会って何なのか?」という根本から整理しましょう。
ただのお偉いさんの集まりではなく、私たちの生活に直結する“ルール”を決める大事な場所なんです。

🔹 国会は「国のルールを決める場所」=立法府

国会は、日本の三権(立法・行政・司法)のうちの立法(=法律を作る)を担当する機関です。
つまり、国会は「私たちの社会でどう暮らすか」というルール=法律を決める唯一の場なのです。

🔹 三権分立の中での役割

日本では、次の3つの権力が独立してバランスを保っています。

権力機関主な役割
立法国会法律を作る
行政内閣法律を実行する
司法裁判所法律を守らせる/争いを裁く

この三権が分立していることで、一部の権力が暴走しないようにコントロールされているのです。

🔹 国会がないと法律は作れない

どんな法律も、必ず国会で審議され、可決される必要があります。
たとえば税金の仕組みも、教育の制度も、働き方のルールも――
すべては国会で議論され、決まったものです。

次に、「衆議院」と「参議院」という二つの存在について見ていきましょう。
よく耳にするけど、その違いや役割が分からないという人も多いはずです。

🔹 なぜ二つあるの? → 二院制の理由

日本は「二院制」を採用しており、衆議院と参議院の2つの議院で構成されています。

これは、

  • 一つの議院だけでは偏った判断になる可能性があるため
  • 二つの目でチェックし合うことで、より慎重でバランスのとれた政治を行うため
    です。

🔹 衆議院と参議院の違い(任期・人数・役割)

比較項目衆議院参議院
任期4年6年(3年ごとに半数改選)
解散ありなし
議員数465人248人
特徴世論の反映が速い安定性・長期的視点

👉 衆議院は「国民の声を早く反映させる」、参議院は「時間をかけてじっくり議論する」性格があります。

🔹 衆議院優越とは?

衆議院と参議院が意見で対立したときは、最終的には衆議院の意見が優先される仕組みになっています。
これは、衆議院の方が「任期が短く、解散もある=国民の意見をダイレクトに反映する」という前提があるからです。

「国会=法律を決める場所」と分かっても、実際にどんなことが行われているのかまでは見えにくいですよね。
このセクションでは、国会が日々行っている仕事の中身を紹介します。

🔹 法律をつくる(立法)

国会の最大の役割は、「法案」を審議し、可決して法律にすることです。
法案は内閣や議員から出され、委員会や本会議で話し合われ、最終的に多数決で決まります。

🔹 予算を決める(財政のルールを決定)

国が1年間に使うお金(予算)も、国会の承認がなければ執行できません。
これは税金の使い道を決める重要な責任であり、「予算審議」は国会の大きな仕事のひとつです。

🔹 政府のチェック(質問・不信任案など)

国会議員は、政府(内閣)の活動を監視する役割も担っています。

  • 質問主意書の提出
  • 予算委員会での質疑応答
  • 不信任決議案の提出 など

👉 国会は、**政府が勝手なことをしていないか見張る“監視役”**でもあるのです。

ここまでで、国会が何をする場所なのか、その仕組みや中で働いている議院の違いが分かってきましたね。

次の後編では、

  • 法律が実際にどうやって作られていくのか
  • 国会中継で見えるもの・見えないもの
  • 私たちの生活とのつながり

について、さらに詳しく解説していきます。


前編では、国会の基本的な役割や衆議院・参議院の違い、そして実際に国会で行われている仕事についてご紹介しました。
ここからは、法律ができるまでの具体的な流れや、国会中継の見方私たちとの関係について解説していきます。

「国会で法律を決めている」とはいうものの、実際にどんなステップを踏んで決まるのか、知っている人は意外と少ないかもしれません。
ここでは、その基本的な流れを見ていきましょう。

🔹 法案の提出

法律案(=法案)は、主に次の3つの方法で提出されます。

  • 内閣提出法案(政府が提出)
  • 議員立法(国会議員が提出)
  • 委員会提出法案(国会の委員会単位で提出)

👉 特に重要な法案(予算、税制など)は内閣から提出されることが多いです。

🔹 衆議院での審議 → 採決

法案はまず衆議院に送られ、

  • 委員会で細かい審査
  • 本会議で全体の採決
    という流れを経ます。

ここで過半数の賛成が得られると、次は参議院に送られます。

🔹 参議院での審議 → 可決または否決

参議院でも同様に審議と採決が行われます。
もし参議院で否決されたとしても、一定条件のもとで衆議院が再可決すれば法案は成立します。これが「衆議院の優越」です。

🔹 天皇による公布 → 法律として施行

国会で可決された法案は、天皇によって**「公布」**され、正式な法律となります。
(これは形式的な儀礼で、政治的な権限は伴いません)

その後、政令や省令で具体的な運用方法が定められ、法律として私たちの生活に影響を与え始めます。

国会のニュース映像では、議員が怒鳴ったりヤジを飛ばしたりしている場面ばかりが切り取られがちです。
でも、実はもっと大事な議論は別の場所で行われているのです。

🔹 本会議は“決定の場”、議論の中心は委員会

  • テレビでよく映るのは「本会議」=採決や代表質問の場
  • しかし、具体的な議論は「委員会」という少人数の場で行われています

たとえば予算委員会や法務委員会では、
専門家を呼んだり、条文の細部まで突き詰めて議論されたりしています。

🔹 ヤジやパフォーマンスだけではない国会の姿

もちろん目立つ行動もありますが、それはあくまで一部。
実際には、丁寧で地道な議論や提案も数多く交わされているのが国会の現場です。

🔹 国会中継は“私たちが政治に参加する手段”でもある

国会中継や議事録は、ネットでも公開されています。
「政治家が何を言ったか」「どう投票したか」を国民が見られる仕組みがあることこそが、民主主義の大切な部分なのです。

  • 国会は、「法律をつくる場所」であり、「政府を監視する場」でもある
  • 衆議院・参議院という2つの議院が、役割分担しながら慎重に政治を動かしている
  • 私たちの暮らしを支えるルール(法律)は、こうして1つひとつ丁寧に決まっている

💬 政治のことは「難しい」と思いがちですが、
こうしたしくみを知るだけで、ニュースが少し“自分ごと”に変わります。
「国会で今何が話し合われているのか」に目を向けることは、未来への参加でもあります。

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