初級編では、仮想通貨の基本的な仕組みや歴史を学び、仮想通貨がどのようなものか理解することができました。中級編では、実際に仮想通貨を購入し、取引を行うための具体的な知識やスキルを学んでいきます。
仮想通貨取引には、取引所の選び方やウォレットの設定などの基礎的な準備が不可欠です。また、価格変動の仕組みや取引の基本用語を理解することで、より安全かつ効果的に取引を行えるようになります。
仮想通貨の購入方法
仮想通貨を購入するには、まず信頼できる取引所を選び、アカウントを作成することが重要です。仮想通貨は中央管理機関が存在しないため、購入や保管に関して自分自身で責任を持つ必要があります。そのため、初心者はまず取引所の使い方を理解し、安全に仮想通貨を取引するための基本を学びましょう。
国内外の取引所の使い方
仮想通貨を購入する際は、「仮想通貨取引所」を利用します。取引所は、仮想通貨を購入・売却したり、送金を行う場です。
- 国内の取引所
例:コインチェック、ビットフライヤー、GMOコインなど
日本国内の取引所は、金融庁に登録されており、規制に準拠しているため、初心者にとって安心して利用できる環境が整っています。 - 海外の取引所
例:バイナンス、クラーケン、コインベースなど
海外取引所は、取り扱う仮想通貨の種類が豊富で、手数料が低い場合がありますが、日本語対応がないことや規制面での注意が必要です。
取引所選びのポイント
仮想通貨取引所は、どれを選ぶかが非常に重要です。以下のポイントを考慮しましょう。
- セキュリティ
- 取引所がハッキング対策を行っているか(例:二段階認証の導入、コールドウォレットの利用)。
- 過去にセキュリティ問題がなかったかを調べる。
- 手数料
- 取引手数料、入出金手数料、送金手数料が取引所によって異なります。
- 手数料が安いからといって、セキュリティや使いやすさが低下している場合もあるため、バランスを確認。
- 取扱銘柄
- 購入したい仮想通貨が取り扱われているかを確認する。
- 国内取引所では主要な通貨(ビットコイン、イーサリアムなど)が中心だが、海外取引所では幅広い選択肢があります。
アカウント登録と本人確認
取引所を選んだら、アカウントを作成し、本人確認を行います。これは、マネーロンダリング対策や法律で定められた義務に基づくものです。
- アカウント作成の手順
- 取引所のウェブサイトまたはアプリにアクセス。
- メールアドレスやパスワードを入力して登録。
- 本人確認(KYC:Know Your Customer)
- 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード)をアップロード。
- 住所確認のため、はがきや電子メールを受け取る場合があります。
- 本人確認が完了するまで数日かかることもあるため、余裕を持って行いましょう。
ウォレットの設定
仮想通貨を安全に保管するためには、取引所のウォレットを使用するだけでなく、個別のウォレットを利用することがおすすめです。
- 取引所のウォレット
仮想通貨購入後、デフォルトで取引所のウォレットに保管されますが、ハッキングリスクがあるため長期保管には不向きです。 - 個別ウォレットの設定
- ソフトウェアウォレット:アプリやソフトウェア形式で利用するウォレット。
- ハードウェアウォレット:物理的なデバイスで仮想通貨を保管する方法。高いセキュリティが特徴です。
仮想通貨の保管方法
仮想通貨を購入した後、どのように保管するかが非常に重要です。仮想通貨は実物が存在しないため、適切な管理を怠ると盗難や紛失のリスクが高まります。保管方法を選ぶ際は、それぞれの特徴やリスクを理解し、自分の用途に合った方法を選びましょう。
ウォレットの種類
仮想通貨を保管するためには「ウォレット」と呼ばれる仕組みを利用します。ウォレットには、以下の2つの種類があります。
- ホットウォレット
- 概要: インターネットに接続されたウォレット。取引所やモバイルアプリのウォレットがこれに該当します。
- メリット:
- 取引所にログインするだけで簡単にアクセス可能。
- 送金や受け取りが素早くできる。
- デメリット:
- ハッキングリスクが高い。
- 長期保管には不向き。
- コールドウォレット
- 概要: インターネットに接続されていないオフラインのウォレット。紙やハードウェアデバイスを使用します。
- メリット:
- オフラインのためハッキングされる可能性が極めて低い。
- 長期保管に適している。
- デメリット:
- 紛失や物理的な破損に注意が必要。
- 送金に手間がかかる。
ウォレットのセキュリティ対策
ウォレットの種類にかかわらず、セキュリティ対策は不可欠です。以下は仮想通貨の安全な保管のための基本的な対策です。
- 秘密鍵の保管
- 秘密鍵は仮想通貨の所有権を証明する鍵です。これを失うと仮想通貨を取り戻すことはほぼ不可能です。
- 対策: 紙に印刷して安全な場所に保管、またはハードウェアウォレットに保存。
- ハードウェアウォレットの活用
- ハードウェアウォレットは、USBメモリ型のデバイスで、仮想通貨を安全に保管できます。
- 特徴: 高いセキュリティとオフライン保管の利便性を兼ね備えています。
- 二段階認証(2FA)の設定
- 取引所やウォレットアプリで二段階認証を有効化することで、不正アクセスを防ぐことができます。
- アプリ例: Google Authenticator、Authy。
- バックアップの作成
- 秘密鍵やリカバリーフレーズを複数の場所に保管。
- 紙や外付けドライブにバックアップを取ると安心です。
仮想通貨の保管方法は、資産を安全に守るための最重要ポイントです。自分の保有量や利用目的に応じたウォレットを選び、必要なセキュリティ対策を実施してください。
仮想通貨取引の基本用語
仮想通貨を取引する際には、特有の用語や概念を理解する必要があります。これらの基本用語を押さえることで、取引の仕組みやリスクを把握しやすくなります。
現物取引とレバレッジ取引の違い
- 現物取引
- 概要: 仮想通貨を実際に購入して保有する取引方法です。購入した通貨はウォレットに保管し、価格が上がったタイミングで売却することで利益を得ます。
- 特徴:
- 初心者におすすめのシンプルな取引方法。
- 購入した仮想通貨がそのまま資産になる。
- リスク: 購入した通貨の価格が下落すると、その価値が下がります。
- レバレッジ取引
- 概要: 自分の資金を担保に、取引所から資金を借りて取引を行う方法です。少ない元手で大きな取引が可能になります。
- 特徴:
- 小さな値動きでも大きな利益を狙える。
- 買いだけでなく、売り(空売り)からも始められる。
- リスク:
- 損失も拡大するため、資金を一気に失う可能性があります。初心者には推奨されません。
スプレッド、スリッページ、手数料の意味
- スプレッド
- 概要: 売値と買値の差のことを指します。取引所ではこの差額が手数料として含まれる場合があります。
- 例: 売値が1BTC=5,000,000円、買値が5,010,000円の場合、スプレッドは10,000円。
- スリッページ
- 概要: 注文時に希望した価格と、実際に取引が成立した価格の差を指します。市場が活発な場合に起こりやすいです。
- 対策: 指値注文を利用することで防ぐことが可能です。
- 手数料
- 概要: 取引や入出金に対して取引所が課す料金です。主に以下の種類があります:
- 取引手数料: 売買時にかかる手数料。
- 入金手数料: 取引所に資金を入金する際の手数料。
- 出金手数料: 資金を出金する際の手数料。
- 注意点: 手数料の額は取引所によって異なるため、事前に確認することが重要です。
- 概要: 取引や入出金に対して取引所が課す料金です。主に以下の種類があります:
買い注文・売り注文(成行、指値、逆指値)
- 成行注文
- 概要: 市場で取引されている現在の価格で即時に売買を成立させる注文方法。
- 特徴:
- 素早く取引を完了させたい場合に適している。
- 価格が変動しやすい市場では、希望価格とかけ離れることもある。
- 指値注文
- 概要: 希望する価格を指定して取引を行う注文方法。
- 例: 1BTCを4,900,000円になったら購入するよう指定する。
- 特徴:
- 希望価格での取引が可能。
- 希望価格に達しない場合は、注文が成立しない。
- 逆指値注文
- 概要: 条件を指定して、自動的に注文を執行する方法。損失を限定したい場合や利益を確定したい場合に使用されます。
- 例: 1BTCが5,100,000円以上になったら売却するよう指定する。
- 特徴:
- 自動的に損切りや利確ができるため、感情に左右されにくい。
※成行、指値、逆指値については【株式投資】でも同じことです。【株式投資】初心者入門編でも書いてあるので、そちらでも学びましょう。
これらの用語や概念を理解しておくことで、仮想通貨取引をスムーズに進められます。次は価格変動の仕組みについて学び、取引の判断力を高めていきましょう。
仮想通貨の価格変動の仕組み
仮想通貨市場では、価格が大きく上下することがよくあります。この価格変動は「ボラティリティ」と呼ばれるもので、仮想通貨の特徴の一つです。価格が変動する理由を理解することで、市場の動きに柔軟に対応できるようになります。
ボラティリティ(価格変動の大きさ)
仮想通貨市場は、法定通貨や株式市場に比べてボラティリティが高いと言われます。
- 理由1: 流動性が低い
仮想通貨市場の取引量は、法定通貨や株式に比べると小さいため、大口投資家の売買や特定のニュースが価格に大きな影響を与えます。 - 理由2: 市場が24時間365日稼働
株式市場は特定の時間帯にしか取引できませんが、仮想通貨市場は常に取引が行われています。そのため、価格が短期間で大きく変動する可能性があります。
仮想通貨市場が影響を受けやすい要因
規制
- 政府や金融機関が仮想通貨に関する規制を発表すると、市場に大きな影響を与えます。
- 例: 中国が仮想通貨の取引を禁止した際、市場全体で価格が急落しました。
- ニュース
- 仮想通貨に関連するポジティブなニュース(例:大手企業の仮想通貨導入)は価格を押し上げます。逆に、ハッキングや不正取引に関するニュースは価格を下落させる要因になります。
- 技術の進展
- 新しい技術の導入やプロジェクトの成功が通貨の価値を高めます。例えば、イーサリアムが「スマートコントラクト」を実現したことで、価格が急騰したことがあります。
- 需要と供給
- 仮想通貨の価格は、需要と供給のバランスによって決まります。
- 例: ビットコインは発行枚数が2100万枚と限られているため、需要が増えると価格が上昇しやすくなります。
初心者が注意すべき点
- 短期間の価格変動に惑わされない
- 仮想通貨は短期間で大きく変動しますが、その都度慌てて売買するのは得策ではありません。長期的な視点を持ちましょう。
- リスク管理を徹底する
- 価格変動が大きい分、一度の取引で大きな損失を出すリスクもあります。損切りや利確のラインを事前に設定しましょう。
仮想通貨の価格変動は、初心者にとっては戸惑う部分かもしれません。しかし、変動の仕組みを理解することで、より落ち着いて取引に臨むことができるようになります。次は、仮想通貨取引におけるリスク管理について学びましょう。
仮想通貨取引のリスク管理
仮想通貨取引は、リターンが大きい一方で、高いリスクが伴います。特に価格変動が激しい仮想通貨市場では、適切なリスク管理が成功の鍵を握ります。ここでは、初心者でも実践できるリスク管理の方法を解説します。
損切りと利確の重要性
- 損切り(ロスカット)
- 概要: 一定以上の損失が出た場合に取引を終了し、損失を限定すること。
- ポイント:
- 事前に「これ以上損失を出さない」ラインを設定する。
- 感情に左右されずに、自動で損切りを行える「逆指値注文」を活用する。
- 例: ビットコインを500万円で購入し、480万円を損切りラインに設定。価格が480万円に達した時点で自動的に売却。
- 利確(利益確定)
- 概要: 利益が一定の金額に達したら取引を終了し、利益を確保すること。
- ポイント:
- 欲張りすぎず、現実的な目標を設定する。
- 利確を怠ると、価格が急落して利益を失う可能性がある。
- 例: ビットコインを500万円で購入し、520万円を利確ラインに設定。価格が520万円に達した時点で売却。
分散投資の重要性
- 複数の仮想通貨への分散
- 特定の仮想通貨だけに集中して投資するのではなく、複数の通貨に資金を分けることでリスクを軽減します。
- 例: ビットコイン50%、イーサリアム30%、リップル20%といった割合で投資。
- 他の資産クラスへの分散
- 仮想通貨だけでなく、株式や債券、不動産など他の資産クラスに投資することで、ポートフォリオ全体の安定性を高めます。
レバレッジ取引のリスク
- 概要
- レバレッジ取引は、少ない資金で大きな取引を行える一方で、損失も拡大するリスクがあります。
- 初心者には推奨されない理由
- 資金管理が難しく、相場の急変動で大きな損失を出す可能性が高い。
- レバレッジ取引に慣れるまでは、現物取引に専念することがおすすめです。
まとめ:安全に仮想通貨取引を行うために
仮想通貨取引のリスク管理は、初心者から上級者まで常に意識すべき重要なポイントです。以下の点を押さえて、長期的に安全な取引を心がけましょう。
- 損切りと利確を徹底することで、感情に流されない取引を実現。
- 分散投資でリスクを分散し、突然の価格変動に備える。
- レバレッジ取引は慎重に取り扱うか、初心者は避ける。
仮想通貨取引は魅力的な投資手段ですが、正しい知識と管理が不可欠です。この中級編で学んだことを活かし、リスクをコントロールしながら着実に取引スキルを高めていきましょう。
次回は、仮想通貨取引における応用編として「上級編」に進み、さらに専門的な内容を深掘りしていきます。ぜひ引き続き学びを進めてください!