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「そろそろ選挙の時期です」
テレビやネットでよく見かけるこの言葉。でも、「何の選挙?」「それって自分に関係あるの?」と思ったことはありませんか?
この記事では、選挙の基本的な意味や種類、衆議院・参議院・地方選挙の違いまでを、初心者向けにやさしく整理して解説します。
✅ そもそも「選挙」ってなに?なぜ行われるの?
「選挙=投票すること」と思いがちですが、その本質を知っておくと、参加する意味がよくわかります。
🔹 政治家を選ぶ=社会のルールを間接的に決めること
選挙は、「誰に政治を任せるか」を私たちが決める制度です。
政治家は、税金の使い道や教育・福祉のルールなど、社会のあらゆるルールを決める立場にあります。
つまり、選挙で選ばれた人を通じて、私たち自身が社会の方針を決めているとも言えるのです。
🔹 民主主義における“私たちの意思表示”
日本は「民主主義の国」。
国民が直接政治をするわけではありませんが、選挙という手段を通じて意志を示すことができます。
「選挙=白紙委任」ではなく、「これからの社会をどうしてほしいか」を表明する、重要な機会なのです。
🔹 「選ばない」ことで起きる影響もある
選挙に行かないと、結果的に「他の人の意見」が社会のルールになります。
たとえば、若者の投票率が低ければ、政治家は高齢者向けの政策を重視するかもしれません。
👉 「関心がない」と思っても、社会の変化に巻き込まれない人はいないのです。
✅ 選挙にはどんな種類がある?ざっくり全体像をつかもう
一言で「選挙」といっても、実はいくつかの種類があります。
ここでは、「自分に関係あるのはどれか?」を把握するために、選挙の全体像を整理します。
🔹 国政選挙(全国レベル)
- 衆議院議員総選挙
- 参議院議員通常選挙
国のルールや税金の使い方を決める、いわゆる“国のリーダー”を選ぶ選挙です。
🔹 地方選挙(地域レベル)
- 都道府県知事選挙/都道府県議会議員選挙
- 市区町村長選挙/市区町村議会議員選挙
住んでいる地域のリーダー(知事や市長)や、身近な課題を議論する議員を選ぶ選挙です。
👉 地域のゴミ処理・保育所・道路・医療など、生活に直結したテーマが多いのが特徴です。
🔹 その他:補欠選挙や再選挙もある
- 辞職や死亡などで欠員が出たとき → 補欠選挙
- 無効票が多すぎるなど → 再選挙
これらは通常のスケジュールとは別で、臨時に行われます。
突然選挙があるのはこうした理由によることもあります。
✅ それぞれの選挙のしくみとポイントを解説
次に、それぞれの選挙でどんなルールで行われているのかを簡単に見ていきましょう。
任期や特徴を押さえると、自分がいつ・何のために投票するのかがはっきりします。
🔹 衆議院選挙|任期4年・解散あり・政権を選ぶ選挙
- 任期は原則4年ですが、解散があるため頻繁に行われることも
- 総理大臣を選ぶ政党を実質的に選ぶ「政権選択選挙」
👉 ニュースで「衆議院が解散された」という話が出るのはこの仕組みのためです。
🔹 参議院選挙|任期6年・解散なし・安定的な運営が目的
- 任期は6年で、3年ごとに半数を改選
- 解散がないため、衆議院よりも長期的な視点で議論がされやすい
👉 衆議院より「じっくり考える場所」という性質があります。
🔹 地方選挙|私たちの生活に直結
- 任期は基本4年
- 地域の首長(知事・市長など)や議員を選ぶ
- ごみ・医療・子育てなど、「身近な課題」に影響が大きい
次の後編では、
- 補欠選挙・再選挙のしくみ
- 小選挙区・比例代表制など「当選のしくみ」
- 選挙のタイミングと「18歳から投票できる」理由
などを解説し、「選挙をどう見るか?」が一段深く理解できるようになります。
前編では、選挙の種類と基本的なしくみを紹介しました。
ここからは、**補欠選挙や比例代表制などの制度面、そして「なぜ18歳から投票できるのか」**という背景まで含めて、より実践的に解説していきます。
✅ 補欠選挙・再選挙ってなに?臨時で行われる選挙のしくみ
「また選挙?」と思ったら、それは通常の選挙とは違う“臨時選挙”かもしれません。
補欠選挙や再選挙の意味を理解しておくと、選挙のタイミングが読みやすくなります。
🔹 補欠選挙とは?
議員が死亡・辞職・当選無効などで欠員が出た場合、
その枠を埋めるために行われる選挙です。
- 年に2回(春・秋)にまとめて行われるのが基本
- 特定の選挙区だけで行われる
🔹 再選挙とは?
投票が行われたものの、
- 無効票が多すぎる
- 同数で決着がつかない
などの理由で選挙が無効とされた場合に、もう一度やり直される選挙です。
✅ どうやって当選が決まる?選挙制度の仕組みを知ろう
「選挙で一番票を取った人が当選」――だけではないってご存じですか?
ここでは、比例代表制や小選挙区制といった実際の仕組みをやさしく整理します。
🔹 衆議院は「小選挙区+比例代表」の並立制
- 小選挙区制:全国を289の選挙区に分け、各区から1名だけ選出
- 比例代表制:ブロック単位で政党に投票し、得票数に応じて議席を配分
👉 有権者は「候補者名」と「政党名」の2票を投じるのが基本です。
💡 比例復活とは?
小選挙区で落選した候補者でも、比例ブロックで上位にいれば「比例復活」で当選することがあります。
「なぜ落ちたはずの人が受かってるの?」という疑問は、これで説明できます。
「小選挙区+比例代表」の並立制 詳細
日本の衆議院選挙では、有権者は1人で2票持っています。
- 1票目 → 小選挙区(候補者に投票)
- 2票目 → 比例代表(政党に投票)
▶ 小選挙区の例
たとえば「東京都第1区」という選挙区では、1人しか当選できません。
Aさん(自民)、Bさん(立憲)、Cさん(維新)が立候補していて、
一番票を取ったAさんだけが当選します。
▶ 比例代表の例
東京都は「南関東ブロック」という広い地域に属しています。
このブロックでは複数の政党が議席を分け合います。
たとえば、
- 自民党:40%の票 → 8議席
- 立憲民主党:30%の票 → 6議席
- 維新:20%の票 → 4議席
のように、政党の得票数に応じて議席が決まります。
💡 比例復活の例
もし小選挙区で落選したBさんが、立憲民主党の比例名簿で上位に登録されていた場合、
政党の得票数と名簿順によって「比例で復活当選」する可能性があります。
👉 「落選したはずなのに、当選?」というのはこの仕組みです。
実際に、枝野幸男氏(立憲民主)などは過去に比例復活をしています。
🔹 参議院も「選挙区+比例代表制」
- 選挙区:都道府県単位で複数名を選出(大選挙区制)
- 比例代表:全国単位で政党・候補者に投票
- 特徴:「非拘束名簿式」=候補者名でも政党名でも投票OK
👉 票の多い候補者から順に、政党ごとに当選が決まります。
「選挙区+比例代表制」 詳細
参議院は、選挙区と比例代表が全国レベルで行われます。
違うのは、「比例代表」が非拘束名簿式という点です。
▶ 選挙区の例
たとえば「大阪府選挙区」では定員が複数(例:4人)います。
この場合、得票数の上位4人が当選します。
衆議院の「1人だけ」とは異なり、複数当選できる大選挙区制です。
▶ 比例代表の例(非拘束名簿式)
比例では、政党だけでなく「個人の名前」でも投票できます。
たとえば:
- 「〇〇党」と書いてもOK(政党に1票)
- 「田中花子」(名前は例え)と書いてもOK(政党に1票+田中さんに1ポイント)
👉 政党の得票数で議席数が決まり、その中から「個人票が多い人」が当選します。
実際に2022年参院選では、れいわ新選組の水道橋博士氏がこの仕組みで当選しました。
✅ 選挙はいつ行われる?任期・解散・公示日をおさえよう
「いつ選挙があるのか、よくわからない…」という方へ。
任期や解散、公示日の意味を知っておくと、自然と“選挙の流れ”が見えるようになります。
🔹 任期と解散の違い
- 任期:議員が在職できる期間(衆院は4年、参院は6年)
- 解散:衆議院だけが対象。任期途中でも、総理の判断で解散総選挙ができる
👉 「任期満了」か「解散」が選挙のスタートラインになります。
🔹 公示日と投票日の関係
- 公示日:選挙のスタート。立候補者が正式に出そろう
- 投票日:実際に投票が行われる日(基本は日曜日)
👉 公示日から投票日までは、約12日(国政選挙の場合)が一般的です。
🔹 期日前投票も利用できる
投票日は1日限りですが、仕事や予定がある人のために**期日前投票(きじつまえとうひょう)**が用意されています。
公示日の翌日から投票日前日まで、役所や商業施設で投票できるケースもあります。
✅ なぜ18歳から投票できるの?選挙権年齢の引き下げの背景
かつては「20歳以上」だった選挙権。
2016年から「18歳以上」に引き下げられたのはなぜでしょうか?
🔹 背景にあるのは「若者の政治参加」
- 少子高齢化が進む中で、「若い世代の声を反映する」必要が高まった
- 国際的にも、18歳選挙権は標準的
👉 将来の社会を背負う若い世代が、“今”から意見を持つことが期待されています。
🔹 投票率の低さが課題
ただし、現実には18~20代の投票率は他の年代より低め。
「行っても変わらない」と思われがちですが、**行かなければ“何も伝わらない”**のも事実です。
✅ まとめ|“選挙の種類”を知ることで、社会との距離が縮まる
- 選挙には国政・地方・臨時など多くの種類がある
- 比例代表や小選挙区など、選挙制度の仕組みにも意味がある
- 「いつ行くか」「なぜ行くか」を知ることで、選挙が“自分のこと”になる
💬 「政治に関心を持てない」のではなく、
「知らないから遠く感じる」だけかもしれません。
選挙のしくみを知ることが、社会を自分ごとにする第一歩になります。