ここでは皆さんの嫌いな税金についての勉強です。今の日本は国民負担率が47.5%(若干差異あり)と年々負担の増えている状況。世界で見るとランキングは高くはないですが、それでも嫌な数字となりますね。ちなみに欧州では80%前後の国もあるので、世界は広いと感じています。
そんな状況でも、やはりルールは守らなければならないので、しっかりと知識を身につけることが、ここでも重要となってきます。
それでは、投資に関わる税金の仕組みを学んでいきましょう。
投資を行うと、利益に対して税金がかかります。しかし、税金の種類や計算方法、確定申告の必要性などは、投資の種類や状況によって異なります。このガイドでは、株式投資、仮想通貨、FX、不動産などの投資に関わる税金について詳しく解説し、初心者でも理解できるようにわかりやすくまとめました。
目次
投資に関わる税金の仕組みと種類
投資における税金は、所得の種類や課税方法に応じて異なります。投資で得られる利益にはいくつかの異なる種類があり、それぞれに対して適用される税制も異なります。これを理解することで、正確な申告と効果的な節税が可能になります。
投資に関する税目は主に以下の通りです:
配当所得
株式や投資信託の配当金、分配金から得られる所得。源泉徴収され、一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が課税されます。
譲渡所得
株式や不動産などの資産を売却して得た利益。譲渡所得税として課され、申告分離課税で一律20.315%の税率が適用されます。不動産の場合、短期(所有期間5年以下)と長期(所有期間5年超)で税率が異なります。
雑所得
仮想通貨の売却益やFX取引による利益が該当します。総合課税の対象となり、所得額に応じて5%から45%の累進課税が適用されます。
これらの税目は、投資の種類や所得の扱い方によって異なる課税方式が適用されます。以下に詳しく解説します。
課税方式の選択肢
申告分離課税
投資所得を他の所得と分けて申告する方式です。一律20.315%の税率で課税されます。
総合課税
投資所得を給与所得や事業所得などと合算して申告します。累進課税制度が適用されるため、所得が増えるほど税率が上がります。
選択の影響
- 申告分離課税のメリット: 所得が高い場合でも一律の税率が適用されるため、税負担を抑えやすい。
- 総合課税のメリット: 所得控除を活用できる。配当所得では「配当控除」を受けられる場合もある。
- ケースバイケース: 所得全体が低い場合や控除を最大限活用したい場合は総合課税が有利な場合があります。所得が高い場合は申告分離課税を選択することで税負担を抑えられます。
確定申告について
投資でも利益が出た場合は確定申告が必要になってきます。確定申告が必要かどうかは、以下の条件によって異なります。
確定申告が必要な条件
- 給与収入が2,000万円を超える場合 年間給与収入が2,000万円以上あると、会社員でも確定申告が必要です。
- 給与以外の所得が20万円以上の場合 給与所得者で、不動産や株式、仮想通貨などの給与以外の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
- 複数の給与収入がある場合 複数の会社から給与を受け取っており、年末調整されなかった給与と他の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
確定申告が不要な場合の注意点
給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税にはこの20万円ルールは適用されません。住民税を適切に納めるため、自治体への申告が必要です。
投資の種類ごとの詳細
株式投資
- 課税方式:
- 配当金は申告分離課税または総合課税を選択可能。
- 株式売却益は申告分離課税のみ。
- メリットとデメリット
- 総合課税
- メリット:所得控除が活用でき、配当控除によって税負担が軽減される。
- デメリット:所得が高い場合、累進課税により税負担が増える。
- 申告分離課税
- メリット:一律の税率が適用され、所得額に関係なく税負担を一定に保てる。
- デメリット:所得控除が活用できない。
- 総合課税
※なぜ選択可能なのか?
配当金は「配当控除」の対象となるため、総合課税を選択することで所得控除が受けられる可能性があります。ただし、所得が高くなると累進課税により税率が上昇するため、申告分離課税の方が有利な場合があります。また、株式の売却損と配当金を相殺して源泉徴収された配当金の税金を還付してもらいたい場合にも、申告分離課税による確定申告を行います。
仮想通貨
- 所得区分::雑所得
- 課税方式::総合課税
※注意点※
仮想通貨の売却、他の仮想通貨への交換、商品購入による利益が課税対象となります。累進課税のため、利益が大きいと高額な税負担になる可能性があります。
FX取引
- 所得区分::雑所得
- 課税方式
- 国内取引業者を利用する場合、一律20.315%の申告分離課税。
- 海外取引業者の場合は総合課税。
※注意点※
国内取引業者の利益は損失の繰越控除が可能(最大3年間)。海外業者では損失繰越が認められない場合がある。
不動産
注意点: 不動産所得は経費(減価償却費、修繕費など)を差し引くことで課税所得を減らすことが可能。売却益の短期・長期譲渡で税率が異なります。
所得区分: 不動産所得、譲渡所得
課税方式
賃貸収入は総合課税。
売却益は譲渡所得として申告分離課税。
※以下、累進課税の税率と控除額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 ~ 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税の税率は、課税される所得金額(1,000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額)にあわせて7段階に区分されています。例えば、所得金額が300万円であれば、そのうちの194万9,000円以下の部分の税率は5%、195万円から329万9,000円以下の部分の税率は10%となります。これを超過累進税率と言います。超過累進税率では、課税所得全体に最も高い税率が適用されるわけではなく、各段階の所得部分ごとに税率をかけるのがポイントです。
株式投資の譲渡益シミュレーション
- 前提条件:
- 購入価格: 200万円
- 売却価格: 300万円
- 計算方法:
- 売却価格 – 購入価格 = 売却益
300万円 – 200万円 = 100万円 - 売却益 × 20.315% = 税額
100万円 × 20.315% = 20万3,150円 - 売却益 – 税額 = 実際の受け取り金額
100万円 – 20万3,150円 = 79万6,850円
- 売却価格 – 購入価格 = 売却益
- 結果:
- 売却益: 100万円
- 税額: 20万3,150円
- 実際の受け取り金額: 79万6,850円
株式投資の配当益シミュレーション例
- 前提条件:
- 配当金: 10万円
- 計算方法:
- 配当金 × 20.315%= 税金
10万円 × 20.315% = 2万315円 - 配当金 – 税額 =実際の受け取り金額
10万円 – 2万315円 = 7万9,685円
- 配当金 × 20.315%= 税金
- 結果:
- 配当金::10万円
- 税額::2万315円
- 実際の受け取り金額: 7万9,685円
※手数料は考慮していません。
仮想通貨の利益シミュレーション
条件: 年収400万円、仮想通貨の利益100万円の場合
- 計算方法:
- 年収 + 仮想通貨利益 = 総所得額
400万円 + 100万円 = 500万円 - 総所得額 – 所得控除(仮定: 100万円) = 課税所得額
500万円 – 100万円 = 400万円 - 所得税の計算(超過累進税率適用)
195万円 × 5% = 9万7,500円
(330万円 – 195万円) × 10% = 13万5,000円
(400万円 – 330万円) × 20% = 14万円
所得税 = 9万7,500円 + 13万5,000円 + 14万円 = 37万2,500円 - 課税所得額 × 10% = 住民税
400万円 × 10% = 40万円 - 所得税 + 住民税 = 合計納税額
37万2,500円 + 40万円 = 77万2,500円
- 年収 + 仮想通貨利益 = 総所得額
- 結果:
- 年収: 400万円
- 仮想通貨利益: 100万円
- 所得税: 37万2,500円
- 住民税: 40万円
- 合計納税額: 77万2,500円
注意点
- 株式投資の譲渡益・配当益は申告分離課税(20.315%)の対象であり、他の所得と合算しません。
- 仮想通貨の利益は総合課税対象であり、給与所得などと合算して課税されます。累進課税率が適用されるため、所得控除後の課税所得額を基準に税額が計算されます。
- 仮想通貨の例では控除額を仮定(100万円)としていますが、実際の金額は家族構成や社会保険料等によって変動します。
まとめ
このサイトでは、将来的にFPの資格取得講座を開設予定です。FPの勉強を通じて、こうした税務知識を身につけることが可能になります。最新情報に基づいた内容を反映するため、ぜひ学習の際にご活用ください。