新NISA入門:初心者ガイド
そもそもNISAって何なの?
NISAとは、「Nippon Individual Savings Account」の略。
由来はイギリスの「ISA(アイサ)」「Individual Savings Account」を参考にした制度で、頭に付いた「N」は日本を表しており、「Nippon Individual Savings Account」で「NISA」となりました。
ISAは日本語で「個人貯蓄口座」と訳され、イギリスでは居住者の資産形成を促す制度のことを指しています。制度の内容は、株式型・預金型を選んで該当の金融機関で口座を開設すると、一定額が無期限で非課税となる内容です。イギリスの国民に定着したISAをモデルに誕生したNISAでも、同じように税制の優遇措置が受けられます。制度スタートは2014年1月からでした。
NISAのメリットは?
- 税制優遇: 通常、株式や投資信託から得られる利益や配当には約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座で保有する金融商品については、一定期間、この税金がかかりません。つまり、税金を気にせず、利益をそのまま資産として増やすことができるんです。
- 少額投資: 少額から投資を始めることができるため、大きなリスクを背負うことなく、投資の世界に足を踏み入れることが可能です。
新NISAの概要
2024年から始まった新NISA(ニーサ)制度は、旧NISAの「つみたてNISA」と「一般NISA」を進化させた投資支援制度です。この制度は、長期的な資産形成を促進するために設計されており、特に初心者にとって利用しやすい特徴が多数あります。
主な変更点と特徴
つみたて投資枠と成長投資枠の併用
新NISAでは、定期的な積立投資(つみたて投資枠)と一括投資(成長投資枠)を同時に利用できます。これにより、市場の動向や個人の投資スタイルに応じて柔軟な資産運用が可能になります。
年間の非課税投資上限額の拡大
新NISAでは、つみたて投資枠の年間上限が120万円、成長投資枠の年間上限が240万円に設定されています。合計すると年間360万円の投資が非課税で可能になり、これは現行制度と比較して大幅な拡大です。
非課税期間の無期限化
新NISAでは、非課税で保有できる期間に制限がなくなります。これにより、より長期的な資産形成が促進されます。
口座開設期間の無期限化
いつでも新NISA口座を開設できるようになり、投資のタイミングを自由に選べます。
非課税保有限度額の全体で1,800万円
新NISA制度では、非課税で保有できる総額が1,800万円までとなります。これは既存のつみたてNISAや一般NISAでの保有分とは別にカウントされます。
売却時の非課税投資枠の再利用
売却により生じた非課税枠は、再度投資に利用することができます。これにより、より柔軟な資産の組み替えが可能となります。
※売却時の非課税投資枠の再利用について※
例を挙げると、あなたが積立投資で500万円を投資した場合、非課税枠の残りは1,300万円となります。この時、元本の100万円分を売却すると、次年度からはその売却分に相当する非課税枠が再度利用可能となり、非課税枠の上限が1,400万円に拡大します。
従来の制度では、一度売却した場合、その非課税枠を失ってしまい、再利用はできませんでした。しかし、新NISAの導入により、このような制限が撤廃され、投資者は自らのポートフォリオをより効率的に調整することが可能になります。この新たな柔軟性は、特に資産の再配分を頻繁に行いたい投資者にとって、大きな利点となるでしょう。
項目 | 旧NISA | 新NISA |
---|---|---|
制度(枠)内容 | 「つみたてNISA」 「一般NISA」 「ジュニアNISA」 それぞれの併用は不可 | 「つみたて投資枠」 「成長投資枠」 という2つの枠で併用が可 |
口座開設期間 | 現在は開設不可 | 恒久化 |
非課税で運用できる期間 (非課税期間) | 一般NISA:最大5年間 つみたてNISA:最大20年間 | 無期限化 |
年間投資枠 | 一般NISA:120万円 つみたてNISA:40万円 | 成長投資枠:240万円 つみたて投資枠:120万円 ※2つの枠で併用が可 最大で360万円 |
非課税保有限度額 | 一般NISA 年間120万円×5年間=600万円 つみたてNISA 年間40万円×20年間=800万円 | 1,800万円 ※成長投資枠の上限あり 1,200万円まで |
新NISAの利用方法
- 目標の設定: 長期的な資産形成を目指し、どのようなポートフォリオを構築するか計画します。
- 口座の開設: 新NISA口座を提供する金融機関を選び、口座を開設します。
- 商品選択: つみたて投資枠や成長投資枠で投資可能な商品を選定します。
- 投資開始: 定期的な積立や一括投資を始め、長期的な資産形成に取り組みます。
注意点
- 投資対象の制限: 成長投資枠では、一部の投資商品が対象外になる可能性があります。具体的な投資対象商品については、事前に確認が必要です。
- ロールオーバー不可: 現行NISAの運用分は新NISAに直接移管できません。非課税期間の終了を迎える投資は、新たに新NISAで投資を行う必要があります。
意外なデメリット
ここまで新NISAはお得のように書いてきましたが、実はデメリットもあります。
自分で判断する場面が増える
自由度が増したことで自己の判断の場面は更に増えます。どちらの枠を使うのか、再利用時にはどうするべきなのか等、自由度が増したことで幅が広がり、判断する場面が多くなってきます。
元本割れのリスクは変わらずついてくる
これは投資では常についてくるもの。制度の内容が良くなったとは言え、投資の保証ができたわけではありません。自分で判断する場面が増えるということは、元本割れのリスクも常についてくるので、精神的に辛くなる時期があるかもしれません。
まとめ
新NISAは、より柔軟かつ長期的な資産形成を支援する制度です。現行のNISA制度を利用している方も、これから投資を始める方も、新NISAの提供する様々なメリットを活用して、賢い投資戦略を立てることができるでしょう。投資はリスクを伴いますが、新NISAを上手く利用することで、そのリスクを管理しつつ資産を増やすことが期待されます。
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